2016年1月16日土曜日

最近の田村奈緒は自然界に見られる有機的な形やパターンをデザインに取り入れることに強い興味を持っているようだ。アーツ・アンド・クラフツ運動を思い出した。手作りの復権と言っても良い。こういうプレミアムで工芸的な物作りが時代の気分として見直されきている。










最近の田村奈緒は自然界に見られる有機的な形やパターンをデザインに取り入れることに強い興味を持っているようだ。このような彼女の仕事を見ていてアーツ・アンド・クラフツ運動を思い出した。手作りの復権と言っても良い。
















大量にモノを作るより木材を使い家具を作る。手作りのカーペットをファンタジックに人の手で仕上げる。またベネチアに飛びガラス製品の照明器具を職人達と作る。こういうプレミアムで工芸的な物作りが時代の気分として見直されきている。























工業と工芸はデザイナーの中で常に揺れてきた。寸部の違いないプロダクトを主にプラステックや軽合金を使い数万個から数百万個と大量に正確に同じモノを作る技術が工業製品に貢献してきた。一方工芸品は、木や石や布など一点ずつ微妙にサイズや形が変わるモノを使い工場ではなくデザイナーは職人達の丹念な手に制作をゆだねる。
[工業と工芸の間に]
今日に至るまでデザインの歴史はまだ160年間しか経過していない。キーワードだけでその変遷を並べてみる。産業革命→機械による工業化のためのデザイン誕生(約160年前)→大量生産→バウハウス→デザインを定義→ナチスによって閉校→バウハウスの主要メンバー米国に亡命→経営資源としてのデザイン(米国)→ヨーロッパのデザインはブランドの価値創造。というような過程を通じてデザインという定義は世界中に広まった。















未だデザインは特殊な才能と誤解されているが、元来、工業的に作られたモノでデザインされていないモノはない。つまり、デザインはいたるところに存在しありふれている。その割に何故か、難しいものと思われている。デザインとは観察による問題発見・問題解決である、と合理的に定義すれば、むしろ科学に近い。



























ちなみに私の講演はいつも「デザインって何ですか?」というシンプルな質問から始まるが、的を得た答えが返ってくることはごく希だ。この論文を通じて、すべての人々がデザインを軽やかに語れるようになってほしい。

意外に思われるかもしれないが、デザインの歴史の始まり(つまり工業の始まり)は19世紀、産業革命の結果、イギリスでは工場で大量生産された安価な製品が広く普及した。















しかし商品は粗悪で、かつて存在した職人の労働の喜びや手仕事の美しさは消えていた。機械による工業化は「不器用な手」と批判され、機械は人間よりも劣るとして、工業よりも工芸(クラフト)を指向する動きが一時期強まった。

こうした新しい文明に対しての抵抗は一般的なことだ。手仕事の重要性を強調する運動は「アーツ・アンド・クラフツ運動」と呼ばれ、意外にもデザインという概念が誕生するきっかけとなった。アーツ・アンド・クラフツ運動を通じて生まれたデザインを再定義したのはドイツのバウハウスだった。


















バウハウスとは、1919年にドイツ・ヴァイマルに設立された統合造型学校、ないしはその流れを汲む芸術運動のことである。

1933年、政治的に対立したナチスによってわずか14年間で閉校されてしまったのだが、工業と芸術の統合を目指した表現理念はモダニズム建築に大きな影響を与え、デザインという概念が確立される上でのターニングポイントとなった。

そして、民衆のためのデザインの価値向上を目指したバウハウスでは、ようやく機械による大量生産もポジティブに評価されるようになった。





























バウハウスの主要メンバーは、ナチスに迫害されたのち米国に亡命した。彼らが伝えたバウハウスの理念は米国の建築やデザインの発展に大きく寄与した。しかし米国におけるデザインは同時に「経済発展を支えるマーケティングの一環」でもあった。

結果として表層デザインの差別化が加速した。1930年代に登場した「流線型」などの新しいスタイルは人々の消費への意欲をかきたてた(機能面から考えると鉛筆削りが流線形である必要はない)。

一方、バウハウス亡き後、戦後ヨーロッパのデザインはブランドの価値創造のために用いられ、ドイツとイタリアがその牽引役となった。ドイツではマックス・ビルが中心となり、バウハウスの理念を継承したウルム造形大学が設立された。
















これに対してイタリアでは、ドイツの質実剛健とは異なるラテン的明るさやファッション性、職人の高度な手仕事を特徴とするデザインが発達した。日本も今や歴としたデザイン先進国となり、多くの優れたデザイナーが活躍している。

[FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」]という田中浩也氏の著作を読むと工業機械の小型化、デジタル化(デジタルファブリケーション)と、ネットワークでつながる個人が生んだムーブメント「工業の個人化(パーソナルファブリケーション)」について、ファブラボジャパンの発起人がはじめて綴った。




























MITメディアラボの人気授業「(ほぼ)なんでもつくる方法」体験記、世界各地のファブラボの活動など、ムーブメントの最前線を紹介。エンジニア、デザイナー、アーティスト、ハッカーなど多様な人々が支持し、成長を続けるこのメーカームーブメントについて書かれているが、このルーツは「バウハウス」であり「アーツ・アンド・クラフツ運動」や「ホールアースカタログ」に見られる。


















学校や自宅にデジタルなものづくりができる環境が整えば、そこから次世代のデジタルなメイカーたちが生まれてくるだろう。もし手に届く場所に3Dプリンタがあると、子どもたちは「想像(imagine)したことは創造(create)できる」ということを自ら学ぶだろう。

http://www.designboom.com/




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