2013年5月12日日曜日

フランシス・ベーコン展で見たhere(この世)からthere(あの世)とが共存する絵。 激しい人生のエネルギーを注ぎ、絵画の強烈なイノベーション(革命)を試みた男。

昨日雨の中ベーコン展に行って来た。若いときは、その洒落たジャズのような格好いい究極のダンディズムとエレガントな画風を憧れて見ていた。しかし、今回久しぶりに見たベーコンは画風の格好良さはもちろん言葉も凄い画家だったということを改めて認識させられた。 










アイルランドのダブリン出身で、ピカソと並び20世紀最高の画家と称されるフランシス・ベーコン (Francis Bacon、1909 - 1992)。隣り合わせの生と死。クルッと回ってあの世に行ってしまうような、向うからひょいとやってくるような絵画が多い。





























hereからthere、「逝」と「生」とが共存する絵。 そして、何よりも凄いのは、激しい人生を、絵画の強烈なイノベーション(革命)を試みながら彼は80年以上生きたという事だ。天才にありがちな過剰なエネルギーを抱えていた男の描いた絵画という痕跡は、見る者の心が吹き飛ばされるほどパワフルだ。 

彼の絵画は文脈は「A→B」(もしくは「B→A」)への移行を示すものが多い。このA⇄Bには、人間⇄動物、聖⇄俗、こちら側⇄あちら側、この世⇄あの世などが当てはまる。人物の身体や顔が歪められていること。身体や背景が黒バックにぼやけ、擦れ曖昧になっていること。






















ベーコンの言葉
 ■芸術家にとって問題は常に一つしかない。テーマを表現すること、常に同一で、変えることのできないテーマを、その度に新しい形式を見つけることによって表現するということ。
■写真の発明以後、絵画というものはまるで様変わりしたんだ。もう描くための理由が昔と同じというわけにはゆかない。
■一種のイメージに対するイメージの影響というものがあって、それはとても謎めいたものだけど、でもそうなることは確かだよ。
■僕はいつでも死というものを感じているんだよ。なぜなら、生というものが人を奮い立たせるとして、その反対の死も、人を奮い立たせるに違いないんだ。おそらく、生を意識するのと同じように死を意識するのさ。生と死をコインの表裏のように意識するのさ。

 映画は、ベーコン (サー・デレク・ジャコビ) と彼の恋人であり 絵のモデルだったジョージ・ダイアー (ダニエル・クレイグ) との出会いから別れを 1960年代~70年代を通して描いた伝記となっている。

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