2011年2月16日水曜日

グローバリズムというのは結局、深いローカリズムへの洞察だというアイ・ウェイウェイのコンテクストはとても力強く伝わってくる。それは同時に中国人でない人が、この作品を作ってもこのアートは意味を持たないことになる。


「アイ・ウェイウェイ展何に因って?」が、東京・六本木の森美術館で開催された。アイ・ウェイウェイ(艾未未)は、現代中国を代表する1957年生まれのアーティスト。美術、建築、デザイン、などの多岐にわたる分野で活躍している。会場に足を踏み込んだ途端、とても良い香りがしてくるのだが、その基は1トンものプーアル茶葉を圧縮してできた作品「1トンのお茶」とてもシンプルで、迫力のある作品だ。グローバリズムというのは結局、深いローカリズムへの洞察だというアイのコンテクストはとても力強く伝わってくる。そして仮に中国人でない人が、この作品を作ってもこのアートは意味を持たないだろう。
1トンのお茶》2006年/圧縮した茶1トン 100×100×100cm

























アイ・ウェイウェイからのメッセージ





























アイの表現は単純に説明すると「伝統の革新と継承」。アートの文脈がとても明確なアイ。彼はアメリカから帰国後、中国の古典美術への関心を深めていったようだ。まるで外人の眼で、骨董市に通ううちに、王朝ごとに様式があり、その時代に好まれた形やデザインなどの違いに興味をもつようになる。そこから生まれた作品が「コカコーラの壷」(1997年)だ。ご存知の通り、ウォーホルがモチーフにも使ったコカコーラは、アメリカ型資本主義における大量消費社会の象徴で、近年ではグローバリゼーションの象徴とも言えるかもしれない。いまや中国はコークの世界第四位の消費国になった。

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